マツモト・ノブヨシ Matsumoto,Nobuyoshi

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人の誕生をめぐる倫理(2002年)

キリスト教社会では、長い歴史を通して、人は、「結婚」した「一夫一婦」のカップルの「性的関係」 の結果生まれるのが当然で、他のケースは非倫理的なものとして捉えられて来ました。ところが、現在、 ある社会で認知されているものには、「結婚していない」女性から生まれたり、「一夫多妻」の環境の中で生まれたり、 人工的受胎(人工授精・体外受精等)に見られるように「性的関係なし」に生まれたりしているケースがあります。 これらのケースは、皆、非倫理的と断罪すべきことでしょうか。まず、この点に関して考えてみましょう。

性(セックス)

まず、今回資料として使用する日本性教育協会の『青少年の性行動』という報告書について少し説明しておきましょう。この調査は、1974年に総理府青少年対策本部の委託を受けて実施して以来、7年ごとに行っており、現時点では、第4回目にあたる1994年発行のものが最新のものです。同調査は、監督者が学級におもむいて簡単な説明を行った後、質問票に解答を記入してもらい回収するという方法をとっています。第4回目のものも、大都市、中都市、町村の9地域における中学生から大学生まで、約5千人をこの方法で調査しており、その内容の客観性と信頼度はかなり高いと思われますので、発行者の承諾を得て、ここでもそれを利用させていただきます。

自力で理解する人工妊娠中絶

まず、言葉の整理をしておきましょう。受精してから誕生するまでの人間は、「胎児」と呼ばれる以外に、特にその初期には、「胎芽」または「胚芽」、および「接合体」または「接合子」と呼ばれることもあります。「接合体」というのは、精子と卵子が受精した直後の受精卵を指し、「胎芽」は、その後より胎児と呼ばれるまでを指します。英語でも、区別するときは、接合体をzygote、胎芽をembryo、胎児をfetusと言います。

人間の尊厳性

人間の尊厳性について考えるための導入の一つとして役に立つと思われるのが「人を殺すこと」について考えさせることです。